ハチにまつわる自然由来の食品や商品を紹介する、ハチめぐ編集部です。
はちみつ(蜂蜜)は、長年にわたって世界中の多くの人々の生活に取り入れられてきた、天然の「甘味料」です。
その背景には、はちみつに含まれる豊富な栄養素が関係しています。本記事では、はちみつに含まれる栄養素や成分について詳しく解説します。
はちみつに含まれている栄養素・成分表

文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会が公表している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、はちみつに含まれている栄養成分やカロリーは以下のとおりです。
項目 | 含有量 ※可食部100gあたり | |
---|---|---|
カロリー | 329kcal | |
糖質(単糖類) | 75.3g 糖質全体:81.7g | |
水分 | 17.6g | |
タンパク質 | 0.3g | |
ミネラル | カリウム | 65mg |
リン | 5mg | |
カルシウム | 4mg | |
ナトリウム | 2mg | |
マグネシウム | 2mg | |
マンガン | 0.21mg | |
鉄 | 0.2mg | |
亜鉛 | 0.1mg | |
銅 | 0.04mg | |
クロム | 1μg | |
ヨウ素 | 微量 | |
ビタミン | ビタミンA(β-カロテン) | 1μg |
ビタミンB1 | 微量 | |
ビタミンB2 | 0.01mg | |
ナイアシン | 0.3g | |
ビタミンB6 | 0.02g | |
葉酸 | 7μg | |
パントテン酸 | 0.12mg | |
ビオチン | 0.4μg |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
はちみつに含まれる「カロリー」を解説

はちみつのカロリーは100gあたり約329kcal、大さじ1杯あたり69kcalで、上白糖(100gあたり391kcal)よりも低カロリーです。
また甘味もはちみつのほうが強いため、上白糖よりも少ない量で同じ甘味を出すことができます。
砂糖にもいろいろ種類がありますが、以下の表のように軒並みどの砂糖よりもはちみつのほうが低カロリーです。
砂糖の種類 | カロリー ※可食部100gあたり |
---|---|
(比較)はちみつ | 329kcal |
上白糖 | 391kcal |
黒糖 | 354kcal |
グラニュー糖 | 394kcal |
三温糖 | 390kcal |
きび砂糖 | 396kcal |
てんさい糖 | 357kcal |
和三盆 | 393kcal |
はちみつに含まれる「糖質」を解説
はちみつを構成する成分のうち、80%以上は糖質です。

残りの20%はほとんどが「水分」だから、はちみつはほぼ糖と水分でできてるんだ!
糖質にも種類があり、大きく「単糖類」と「多糖類」に分かれます。
はちみつに多く含まれているのは単糖類である「ブドウ糖(グルコース)」や「果糖(フルクトース)」です。
分類 | 糖の種類(例) | 特徴 |
---|---|---|
単糖類 | ブドウ糖(グルコース) | 全身の細胞でエネルギー源として利用される。 はちみつに多く含まれる。 |
果糖(フルクトース) | 果物に多く含まている糖。肝臓で代謝されるため、ブドウ糖に比べて血糖値の上昇は穏やか。 はちみつに多く含まれる。 | |
多糖類 | ショ糖(スクロース) | 白砂糖のこと。花の蜜の主な成分でもある。ブドウ糖と果糖が1個ずつくっついてできている。 |
麦芽糖(マルトース) | 水飴の主成分。ブドウ糖が2個くっついてできている。 | |
でんぷん(アミロース) | 植物が光合成によって作る炭水化物。ブドウ糖が大量にくっついてできている |
花の蜜から集めた「ショ糖」を、ハチが「ブドウ糖」と「果糖」に分解して作っているがはちみつなので、はちみつには単糖類が多く含まれています。
糖質は動物が活動をし続けるための重要なエネルギー源ですが、「多糖類」のまま体内に吸収することはできません。私たち人間も、多糖類を食べたら体内で「単糖類」に分解してから吸収しているのです。
そのためはちみつは、「ハチが人の代わりに、多糖類を単糖類に分解してくれている食材」といえます。
はちみつに含まれる「タンパク質・アミノ酸」を解説


はちみつに含まれているタンパク質は、ハチのタンパク源である「花粉」から由来しています。含まれている量ははちみつ100gあたり0.3g、このうち3分の2にあたる0.2gは「アミノ酸」の状態で含まれています。



アミノ酸がたくさんくっついてできているのが、タンパク質だよ!
アミノ酸は筋肉や血液、髪の毛、酵素など身体を構成する組織を作る原料になる成分です。はちみつに含まれているアミノ酸の成分表は以下のとおりです。
アミノ酸の種類 | 体内での役割(例) | 含有量 ※可食部100gあたり |
---|---|---|
プロリン | 肌や関節のコラーゲンを作る材料 | 84mg |
アスパラギン酸 | エネルギー代謝に関与 | 25mg |
グルタミン酸 | 脳の神経伝達に関与・うま味成分 | 17mg |
フェニルアラニン | ドーパミンの原料 | 10mg |
ロイシン | 筋肉の成長と修復をサポート | 9mg |
バリン | 筋肉のエネルギー源 | 8mg |
イソロイシン | 持久力や疲労回復に関与 | 7mg |
リシン(リジン) | 骨や成長、免疫に関与 | 7mg |
チロシン | 甲状腺ホルモンの原料 | 7mg |
グリシン | コラーゲンの主要成分 | 7mg |
アラニン | エネルギー代謝に関与 | 6mg |
セリン | 脳や神経の働きをサポート | 6mg |
その他(メチオニン、シスチン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン) | ー | 18mg |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
はちみつに含まれる「ミネラル」を解説


ミネラルは、人間が体内では合成できないが、生きていくために必要な栄養素のことで、食事やサプリから接種する必要があります。
はちみつ100gあたりにミネラルは0.1g含まれており、成分表は以下の通りです。
ミネラルの種類 | 体内での役割(例) | 含有量 ※可食部100gあたり |
---|---|---|
カリウム | 体内の水分バランスと血圧の調整 | 65mg |
リン | 骨や歯の成分、エネルギー代謝に関与 | 5mg |
カルシウム | 骨と歯の形成、筋肉の収縮にも必要 | 4mg |
ナトリウム | 体の水分・血圧の調整や神経伝達に関与 | 2mg |
マグネシウム | 筋肉と神経の働きをサポート | 2mg |
マンガン | 骨の形成や抗酸化作用に関与 | 0.21mg |
鉄 | 酸素を運ぶ赤血球(ヘモグロビン)の材料 | 0.2mg |
亜鉛 | 免疫や肌・味覚を正常に保つ | 0.1mg |
銅 | 鉄の働きを助け、血管や神経の健康にも関与 | 0.04mg |
クロム | 血糖値の調整や糖の代謝をサポート | 1μg |
ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの材料になる | 微量 |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
はちみつに含まれる「ビタミン」を解説


ビタミンは、体の機能を正常に保つために必要な栄養素で、ミネラル同様、自分の体内では十分な量を作れないため、食事やサプリから補う必要があります。
はちみつに100gあたりに含まれるビタミンの成分表は以下の通りです。
ミネラルの種類 | 体内での役割(例) | 含有量 ※可食部100gあたり |
---|---|---|
ビタミンA(β-カロテン) | 目の健康や粘膜の維持に重要・抗酸化作用 | 1μg |
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変えるために必要 | 微量 |
ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の健康維持・脂質代謝もサポート | 0.01mg |
ナイアシン | エネルギー代謝や皮膚の健康に関与 | 0.3mg |
ビタミンB6 | タンパク質の代謝や神経の働きをサポート | 0.02mg |
葉酸 | 細胞の再生や、胎児の発育に欠かせないビタミン | 7μg |
パントテン酸 | エネルギー代謝をサポート | 0.12mg |
ビオチン | 髪・肌・爪の健康を保つ・代謝にも関与 | 0.4μg |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
はちみつに含まれるその他の栄養素
成分 | 体内での役割(例) | 含有量 ※可食部100gあたり |
---|---|---|
水分 | ー | 17.6g |
グルコン酸 | ブドウ糖が酸化してできる有機酸の一種・ミネラルの吸収をサポート | 0.3g |
リンゴ酸 | 疲労回復やエネルギー代謝をサポート | 微量 |
その他はちみつに含まれている栄養素・成分は、水分、グルコン酸、リンゴ酸、酵素などです。
グルコン酸やリンゴ酸などの「有機酸」が含まれているため、はちみつのpHは弱酸性になっており、はちみつが腐りにくい理由の1つになっています。
またグルコースオキシダーゼ、アミラーゼ、カタラーゼなどの消化酵素も含まれています。
栄養価の高いはちみつを選ぶポイント


・純粋生はちみつを選ぶ
記事で紹介したはちみつの成分表は、「純粋はちみつ」のものです。水飴などを混ぜたスーパーで売られているような加工はちみつや、加熱処理を施したはちみつは、含まれる栄養素の成分比率が異なりますので、それぞれ商品パッケージの成分表を参照ください。
より栄養価の高いはちみつは、加工や加熱処理をしていない純粋生はちみつです。
まとめ
この記事の要点
・はちみつは糖質・ミネラル・ビタミン・アミノ酸が豊富
・糖質の多くは単糖類で、体内で素早くエネルギーになる
・栄養価を重視するなら「純粋生はちみつ」を選ぶのがオススメ
はちみつは、糖質と水分を主成分としながらも、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、酵素など、多様な栄養素を含む天然の食品です。
砂糖や人工甘味料の代わりに日常の食生活に取り入れることで、カロリーを抑えながらハチからの「自然の恵み」を受け取ることができます。
ただし、いくらはちみつが栄養価が高く砂糖に比べて低カロリーといえど、食べ過ぎはよくありません。摂取量や品質には注意しながら、はちみつを楽しんでくださいね。